
1/fゆらぎとは
現実世界では、あらゆるモノは平均値のまわりでわずかに変動している。
そして、規則正しいリズムを持った音と、ランダムで規則性がない音が絶妙なバランスで構成されている音や振動などを「1/fゆらぎ」という。1/fゆらぎとは、パワー(スペクトル密度)が周波数 f に反比例するゆらぎのことである。
1/fゆらぎは自然現象においても見ることができ、具体例としては人の心拍の間隔、ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れ、小川のせせらぐ音、目の動き方、木漏れ日、蛍の光り方などがある。
「規則的」なものと「不規則」なものが調和した状態である1/fゆらぎを感じると脳内がα波の状態になり、人間の生体にリラクゼーション効果をもたらすとされている。
すべて音声解析の波形は、フーリエ変換によっていくつかの異なる周期、振幅の正弦波の和として表される。横軸に周波数f、縦軸に振幅の正の平方根 P( パワー)をとった座標平面上に 3 つの波を表すと、棒グラフが現れる。
フーリエ変換の結果において、P がfに反比例するとき(P=a/f(aは正の定数)となるとき)、グラフは曲線を描く。このとき、両軸の対数(log)をとると、下図のような傾きが-1の直線が得られる。このように、反比例の曲線の対数グラフが直線になる波形について、『1/f ゆらぎ』に当てはまると言える。
分析の上では幅をとって、-0.9~-1.1の傾きに当てはまるものについて該当すると考えて良いとされる(λはこれの絶対値をとったもの)。
1/fゆらぎの分析
「ゆらぎアナライザー」という、Wave音声ファイルのゆらぎを測定して1/fゆらぎに近いかを調べられるソフトを使用し、きりにゃんさんの声が1/fゆらぎであるかを検証する。
本ソフトを使用すると、周波数または音量の変化をさまざまな周期で分析し、ゆらぎをスペクトラム分布としてグラフにし、可視化することができる。
グラフには、データの直線近似が赤い直線で表示されるとともに、赤い直線の傾きが“λ”として表示される(fの絶対値)。“λ”の値が大きいほど規則性が高く、小さいほどランダム性が高いことを表しており、λの値が1になった状態が“1/fゆらぎ”となる。
ソフト作者によるとλ=およそ0.9~1.1であればその音が“1/fゆらぎ”をもっていると言える。
スペクトラムウィンドウのグラフは、横軸がゆらぎの周波数、縦軸がパワー(音量)を表している(下図が例)。
検証:きりにゃんさんの声は1/fゆらぎを持つ声なのか
※1/fゆらぎの音声は解析する対象データ音源の中の周波数の分散が関係するので、声以外のデータ(リップ音、BGMなど)が入っているとそのデータに引っ張られて結果が変わってしまう可能性があるため、いくつかの音声データを使用した。
参考データとして1/fゆらぎを持つと言われているベートーベンの「運命」を同じ条件で解析した。
使用したデータ
・ ① 4thアルバム track7 脳イキ解除
・ ② ASMR 嫉妬深くて構って欲しい彼氏の耳舐め(一部抜粋)
・ ③ ASMR 添い寝しながら看病してくれる彼氏(一部抜粋)
・ (参考)ベートーベン「運命」第一楽章(一部抜粋)
解析条件
サンプリング周期 25/msec
サンプリングモード 音程(周波数)
回帰直線の範囲は
上限周波数 20.00000Hz
下限周波数 0.00020Hz
として計算する。
結果
☆以上の結果から、λ=0.9~1.1の範囲内であるということがわかる。つまり、きりにゃんさんの声は1/fゆらぎを持つ声であると結論づけられる!