小説風文字起こし

「ねぇ、お布団一緒に入ろ?ここ横になって?」

もう夜も充分に更けて、寝るにはちょうど良い時刻になった頃。先にベッドに入った彼がよいしょって1人分のスペースを空けて、その甘い声で私を呼んだ。それに導かれるようにして私はベッドへと身を沈める。

「もっとこっちおいで?」

ゴソゴソと布団を動かしながら上手く寝れる体勢を探していって。えへっていう彼特有のちょっぴり可愛い笑い声を聞きながら、ようやくたどり着いた場所は大好きな彼にぴったりとくっつく形だった。その優しい腕の中で彼の良い匂いに包まれるこの瞬間がとてつもなく幸せで。

「あったかいね?」
『』
「ああでも…、顔近くて恥ずかしいから、やっぱりやだなぁ…」
『』
「えへ、うそうそ。冗談。…ずーっとこのままがいい。いっぱい見つめてたいから」
『』
「だって、…大好きだもん」

ん、すごく好き…って、私をまっすぐに見つめて、愛おしさを噛み締めるように呟くから、ドキドキしない理由なんてなくて。火照る顔を隠すように視線を下にずらせば、クスって彼の笑う声が頭上で聞こえる。

「そうやって、すぐ照れて顔が赤くなっちゃうとことかも大好き…」

耳元で低く囁いて、俯いている私を掬い上げるように唇を重ねられた。
はむって咥えられて、唇をなぞられて。ゆっくりと触れ合った唇から、2人の体温と柔らかさが溶けて合わさっていく。何度も、何度も重ね合う唇が熱を持って。こっそり薄く瞼を開けば、伏し目がちに見つめてくる瞳とぶつかって心臓がドキッと音を立てた。時々彼が、んっ…って漏らす甘い吐息が色っぽくて、胸がきゅんとしてしまうくらい、好き。

「ん?なあに?」
『』
「好き?…知ってるよ、俺も好き」
『』
「今日はこうやってぎゅーしながら、一緒に寝ようね」

言葉通りその身体に引き寄せられて、後頭部に手を回されてまた唇を奪われる。さっきと同じように優しく、でもちょっぴり強引に重ねられて。思わず漏れてしまう吐息が恥ずかしいのに、もっとほしいって気持ちも大きくて。くっつけた唇を離して、よしよしと頭を撫でる彼の服をちょんちょんって引っ張っておねだりする。

「うん?また?」
『』
「いいよ、しょうがないなぁ」

口ではしょうがないって言ってるわりに、口元が緩んでるのが隠しきれてないとこが可愛くて。唇の隙間から滑り込んできた彼の舌に私のそれが捕らえられて、絡まり合って、吸いつかれる。ちゅっ…ちゅっ…って鳴るリップ音と微かに漏れる2人の甘い吐息だけが鼓膜を支配している。気持ちよくて、このまま溶けていってしまいそうな、そんなような感覚に陥る。

「えへへ、ちゅー気持ちいいね?」
『』
「…そろそろ寝よっか?」
『やだ…』
「んぅ?嫌じゃないでしょ?こうやって頭よしよししてあげるから」
『』
「嬉しそうだね」
『』
「相変わらず甘えん坊さんだね?…でも甘えん坊さん好き」
『』
「うん。大好き」

そう言って甘やかしてくれるから、嬉しくなってまたぎゅーって彼の胸元に飛び込む。そしたら彼も同じようにぎゅーって抱きしめ返してくれて、また嬉しそうに笑うから。好きだよ、ねぇ、大好き。ドキドキと甘い気持ちが心の底から溢れて止まらなくて。ずーっとこのまま、彼の腕の中にいられたらいいのに。朝なんて来なければいいのに。
そんなこと言ったらまた甘えん坊さんって笑われちゃうのかな?

「ほら目つぶって?」
『』
「おやすみなさい」

そんなこと思ったって、時計の針は止まることなく進んでいくから。もう寝なきゃって気持ちと彼の言葉に押されて一旦は目を閉じるも、やっぱりまだ構って欲しいって気持ちが心の中にムクムクと広がる。こっそり瞼を開けば、無防備に瞳を閉じたの顔が暗闇の中でぼんやりと見える。綺麗な寝顔だなぁ。好奇心に駆られてその頬に手を伸ばせば、気づいた彼がまたチラッとその瞳を覗かせて。

「目つぶって?明日早いでしょ?」
『』
「ん?ん、はーい。ちゃんと起こしてあげるね」

そう言って目をつぶった彼からもう本格的に寝息が聞こえてきそうだったから、おやすみって呟いてようやく私も目を閉じる。

「また明日…ん…」

眠そうな声が聞こえてくるのに、相変わらずその手は私の頭を変わらず撫でていてくれるから。やっぱり愛おしくて、心の中でありがとうって呟いた。その心地よい指先を感じていれば、眠りに落ちるか落ちないかっていうあのなんともいえない時間がやってきて。あともうちょっと…ってときに耳元で聞こえた小さなリップ音と甘く掠れた囁き声。

「…好き。…大好き」
『』
「ううん、何も言ってないよ?気のせい」

…うそ。絶対何か言ったはずなのに。もう一回言って…?って言ったってだーめってまた唇を塞いでくる。ゆっくりと髪を梳くその手に、甘く低く脳裏に響くその声に、もう眠気が襲ってくるのに抗えなくて。やがてその感触も声も吸い込まれるように遠くなっていく。

「寝ちゃったんだ…。寝顔かわいい…」
「おやすみなさい」

彼がそう呟いてるなんて露知らず、私は夢の中へ意識を堕とした。

                                                                            END.
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